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昔懐かしレトロな場所、『純喫茶くりいま』へようこそ。

昔懐かしレトロな場所、『純喫茶くりいま』へようこそ。

路地裏をくぐり抜けると、コーヒーの香りとともに突如現れた小さな喫茶店。どこか懐かしい気持ちを感じながらドアをそっと開けると、そこには心地よい空間が広がっていました。

ここは「純喫茶くりいま」。こだわりのインテリアや食器に彩られ、いつでも温かいコーヒーとともに非日常なひと時が味わえる、隠れ家のような空間です。

今日もひとりの少女が、偶然の巡りあわせでお店に足を踏み入れます。どんな物語がはじまるのでしょうか?

 

連休明けはちょっぴり憂鬱な気分。職場と家を行ったり来たりな暮らしはどこか刺激が足りないし、なんだか毎日が代わり映えなく進んでいってしまっているような気さえする。

 

何か素敵な出会いはないかな。せっかくの休日だからこそ、ちょっと非日常な体験をしてみたい。そんなことを考えながら、私は古本屋街を歩いていた。なんとなく刺激が欲しい時、本を手に取って家で読みふけるのが私のルーティン。お気に入りの通りを歩いていたら、ふと、いつもは気に留めないような細い路地が気になり、足を止めた。

 

あれ、こんな所に喫茶店、あったっけ?

いつも通い慣れていた街並みでも、普段見慣れない道に一歩足を踏み入れた途端、少しの不安とともに心踊る素敵な出会いが突然やってきます。

 

……「純喫茶、くりいま?」

 

コーヒーの香りとともに、心地よいBGMが聞こえてくる。路地を抜けた先にこんな素敵な雰囲気のお店があったなんて。

「どうぞいらっしゃい」「ゆっくりしていきなよ」と語りかけてくれるような、どこか安心感のある灯り。この出会いも何かの縁かもしれない。中に入ってみることにしようかな。

 

カランカラン…

 

店員「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」

山小屋のようなレンガ造り、こっくりとした飴色のテーブルに、真っ赤なソファー。店内のそこここに絵画が飾られ、中央には大きな本棚も……。初めて来たのに、どこか懐かしい。そんな気持ちに包まれてしまいます。

 

「お一人様でしたら、奥のテーブルがおすすめですよ。」

 

しばらくその雰囲気に圧倒されていると、店員さんが奥の席へと案内してくれました。

reiさんのステンドグラステーブルランプ(写真左、奥)

chihiro-glassさんの小さなガラスのイス (写真中央、奥)

奥には、まさに私を待ち構えていたかのような、お一人様席が。ステンドグラスの暖かい光を見ただけで、すっと心が落ち着いた。光に透けてきらめく、そのアンティークな佇まいに思わず見入ってしまう。

ランプの下には、ぽつんと置かれた小さな椅子。小さい頃夢中になった人形遊びの記憶がふわっと蘇り、少し頰が緩みます。

 

とりあえずコーヒーを頼もう。さて、どのメニューにしようかな。

そうして悩んでいる最中にも、お腹がぎゅるると鳴ってしまった。気づけば、そろそろ12時。そういえば今日何も食べていないんだっけ……。

ブラックコーヒーは苦手な私。温かいコーヒーに角砂糖を入れて少しずついただく。コーヒー片手に、何を頼もうか考えているだけでもちょっぴり贅沢な心地がする。今日は久々のオフ。いつもは我慢していたけれど今日はダイエットも1日休みとしよう。そんなことを思いながら、心はうきうき。そわそわ。

 

「えーと、これとこれとこれと…………これください!」

せっかく入ったからには、あれもこれもと自然に口が動いた。

 

店員「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」

 

注文を終えると目の前のシュガーポットに目がいく。黄色い灯りに照らされたシュガーポットも、それだけで絵になるような上品な佇まいだ。どれもこれも、小説の中に登場してきそうな空気感をまとっているようだった。

持ち手部分が木製のユニークなマグカップは、不思議と優しく手に馴染み、森の中にいるような錯覚さえ覚えた。

 

コーヒーをすすりながら、ぼうっとあかりを見つめる。この場所の時間だけ、ゆっくり進んでいるような気がする。日常からこっそり抜け出してきたかのような。まるで違う世界に迷い込んでしまったかのような、不思議な気分に包まれます。

 

注文を待っている間、店内の至る所に飾られたインテリアたちに目が止まった。

この絵画、小鳥とコーヒーカップが描かれてる。紅茶の甘い香りに誘われて、飛んできたのかなぁ。絵からも美味しい香りが漂ってきそう……。

この絵画は、なんだかじっと見ていられる。額縁もとっても素敵。小さな街並みを小窓から眺めているみたい……。見つめれば見つめるほどに、想像が膨らんでゆく。

視線を下げると小さなオブジェたちがずらり。

あたたかな灯りに引き寄せられるように、その小さなお家のようなランプが目に入った。ゆらめく灯りに透き通るステンドグラス、小窓を覗けば小さな猫たちが仲睦まじげに寄り添い、愛くるしい鳴き声が聞こえてきそう。

隣にはレトロな黒電話。そういえばおばあちゃんの家で見たような。電話のかけ方はわからないから触らないようにしていたけれど、実は、ダイヤルをぐるぐるっと回してみたかったんだよな……と幼い頃の記憶が蘇っていきます。

 

じっと見つめていると、店員さんがにこやかに話しかけてきました。

「ここに飾っている絵やオブジェはすべて、マスターのコレクションなんです。レトロなものや喫茶モチーフのものを見つけるとすぐ店内に飾るんですよ。」

猫の頭からコーヒーカップ……?

熱々のコーヒーを注いで、ふんわり湯気がたったときのような、喫茶店が似合う猫。その隣に並ぶのは、キュッとネクタイを締めて、まっすぐ見つめる猫。美しい瞳に吸い込まれそうになる。

ザーザーと降り続く雨をただじっと眺めているような、趣のある熊も。古道具屋さんに何十年もの間置かれていたようなレトロな風合いがたまらないオブジェたちも、マスターがこだわり抜いて選んだものだったとは。

 

「そうなんですね。どれもこれも……素敵なものばかりで。ついつい見入ってしまいました。」

小さな豆電球のような、人間のような……あれ?コーヒーを注いでる!そんなことを思いながら小さな彼に見惚れていると

「この珈琲を注いでいる小さなランプマンがいるでしょう、この小さな彼は、佇まいもどこかマスターそっくりなんですよ。ついこないだ見つけてきたようで、嬉しそうに飾っていました。」と教えてくれた。

 

『純喫茶くりいま』。マスターがこだわりぬいた店内は、どこを切り取っても絵になる。なんだかいつまでもいられるなぁ……。

 

「お待たせしました〜」

そうこうしている間に、頼んでいたものが届いた。

「うわぁ!」

運ばれてきたメニューたちに思わず小さく声が漏れる。色とりどりのフルーツサンドにハムサンド、焼きたての香ばしいトースト、そしてあま〜いカラメルが垂れるホットケーキに、お皿に上品にたたずむモンブラン。喫茶店定番のクリームソーダも!……早く味わいたい衝動を抑えて、まずはじっくり眺めてみるとしようか。

 

外はサクッと、中はふわふわ。芳醇な香りがふわっと漂う、焼きたての厚切りトーストだ。今すぐにでもバターを塗って……いやそのままでも!頬張りたい気持ちが早まる。

 

そしてお皿いっぱいに登場したサンドイッチたち。ハムにタマゴに、そして憧れのフルーツサンド。ごろっとカットされた色とりどりのフルーツにたっぷりのホイップクリームは眺めているだけでも心がときめく。何より、カラフルな断面は写真を撮らずにはいられない。

 

喫茶店といえば、そうクリームソーダ。しゅわしゅわと弾ける炭酸に、小さな島のようなバニラアイスで蓋をして……てっぺんにさくらんぼがトッピングされた姿はどこかチャーミング。

ブラウンのタイルが敷き詰められた味わい深いトレー。こんな素敵なトレーで運ばれてきたものだから、スイーツたちもどこか嬉しそう。

そして持ち手に細かな模様が彫られた、スプーンにフォークはそっと手に取りたくなる上品さ。シルバーとゴールドの組み合わせがちょっぴり贅沢。

それらの魅力詰まった食器の上に鎮座するスイーツたちは、じっと眺めているだけでも幸せな気分。

 

飾らない素朴な見た目で、大人になった今も、無性に食べたくなる懐かしいあの味。あま〜いカラメルソースがふわっふわのホットケーキの上に染み渡り、ゆっくりとフォークを入れて口に放り込みたくなる衝動に駆られる。喫茶店のホットケーキには、何故ここまで惹きつけられるのでしょうか。

なかでも、『純喫茶くりいま』の一押しはモンブランだとか。くるくる渦巻くマロンペーストの上に、粉砂糖がまぶされ、まさに造形美!名前のとおり、ほのかに積雪の残る山のよう。デザートは食後の楽しみにとっておきたいけれど……思わず手が伸びてしまう。

ーーあ〜お腹いっぱい!

お腹も心も満たされて、なんだか元気も湧いてきた。せっかくの休日だし、お店の周辺もぶらぶら歩いてみようかな、なんて考えながら席を立つ。

レトロなカウンターの上に、ステンドグラスのトレイが光る。腐食させてできたのであろう、トレイ表面の金の粒が天井から落ちてくる灯りに照らされ、きらめいていた。そっとお札を取り出すと、ミラー越しに手元が写り込む。お会計の一瞬でさえも、胸が高鳴ります。

 

店内のどれもこれも。マスターのコレクションなのかな……とお会計のひと時にもつい考えてしまう。マスターはどんな方なんだろう。今度来た時にはマスターにも会ってみたいなぁ。

 

「とっても美味しかったです!……また来ます。」

「ごゆっくりしていただけたようで何より。またのご来店をお待ちしております。」

 

あの時、この路地に迷い込んできてよかった。今日はいいお店に出会えた。そんな喜びを噛み締めながら、上機嫌でお店を後にした。

扉の外の世界は、さっき私がいた世界と随分違った様子。止まっていた時計が慌ただしく動き出したようだった。でもそんな街でさえ、素敵な出会いをくれたと思えば愛おしい。お店を出て日常に帰る私の心と足取りは、入ってきたときよりも軽やかだった。

『純喫茶くりいま』また来ようっと……!

シャンソンの流れる店内に、マスターのこだわり詰まったディスプレイ。そして美味しいメニューにお腹も心も満たされる場所。

……せわしない日々のなか、束の間の非日常を味わえる『純喫茶くりいま』。またのご来店をお待ちしています。

『純喫茶くりいま』〜企画秘話〜

こんにちは、クリーマの石渡です。『純喫茶くりいま』、楽しんでいただけましたでしょうか。純喫茶は近年のレトロブームによって、若い世代からも注目を集めるスポットですよね。私もその魅力に取り憑かれた一人。純喫茶で焼きたてのサンドイッチを頬張り、クリームソーダーをいただく……あのちょっぴり贅沢で、日常から離れられるような時間が大好きです。

そこで今回は特別企画として、Creemaのクリエイターさんに純喫茶モチーフの作品を募集し、特集と読みもので、架空の喫茶店『純喫茶くりいま』として公開しました。

撮影に使用した作品、大集合!

そして、本企画において、一部のクリエイターさんに撮影にご協力していただきました。どの作品も純喫茶くりいまの世界観を作り出す、頼もしい一員として企画を盛り上げてくださいました。

そして、撮影には創業70年以上もの歴史をもつ、神保町ラドリオさんにて撮影させていただきました。

純喫茶の魅力とは

ここで撮影に使用させていただきいた神保町ラドリオの店長篠崎さんに、純喫茶の持つ魅力についてインタビューしてみました。

ーー純喫茶の魅力とはどういう点だと思いますか?

仕事と家の間の、日常とは別の空間で、心とか頭を休められる場所かなと私は思っています。

ーーラドリオの店内の至る所に飾られている絵画やオブジェがとても魅力的ですが、それらのインテリアのこだわりはありますか?

どれもお客さんが持ち寄ってきたものを中心に飾っています。

小さめの絵は神保町で働いている方が書いている絵を展示しています。大きい額装された絵は、創業当初から飾ってあります。当時のお客さんが画家や作家が多く、絵を無償でくれることが多かったんです。「お金がないからこの絵で一杯飲ませてくれ」とか。

ちなみにラドリオのコースターやマッチ(※現在は全席禁煙になり使用していない)のロゴを考えてくださったのは著名な彫刻家である本郷新さんです。札幌でも美術館があるくらい有名な方です。

また、店内中央に飾ってある木彫りでラドリオと書かれた看板も、お店が作ったものではなく、昔のお客さんが作ってくれたものです。

ーー店内には至る所に本が置かれていますが、これらはどのように集まってきたのですか。

この本たちは私が購入したものを置いたり、お客さんが置いていったりしています。お茶しながらお客さんが本棚から手にとって見られていたりしていますね。

 

……ラドリオを愛するお客さんが持ち寄ってきたものが店内の至る所に飾られて、自然と増えていったというインテリアたち。長きにわたり多くのお客さんに愛され続けてきた場所だということを肌で感じることができました。

純喫茶で、心安らぐ特別なひとときを。

長きにわたり愛され続けてきた、古き良き純喫茶。時が止まったかのような懐かしさと、色褪せない魅力。これからも多くの人の心を麗していくのでしょうか。『純喫茶くりいま』で少しでも純喫茶の魅力に浸っていただけたら、と思います。

本企画にご参加いただいたクリエイターのみなさま、そして撮影にご協力いただいたラドリオさま本当にありがとうございました。

撮影に使用した店舗はこちら

神保町ラドリオ

TEL 03-3295-4788 東京都千代田区神田神保町1-3

営業日:月曜日~金曜日 11:30~22:30(ラストオーダー22:00)

土日12:00~19:00(ラストオーダー18:30)

※変更あり

定休日:祝日・年末年始

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