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〈クリーマのワークショップ第9回〉革のぬくもりに触れる、パスケース作り。レザー作家・SKLOさんをお招きしました
こんにちは、クリーマの竹中です。
残暑もまだまだ厳しい中、朝晩は秋の気配を感じる日も増えてきましたね。季節ごとに作家さんをお招きし、クリーマ社内で実施する「クリーマのワークショップ」も、かれこれ9回目を迎えました。
今回は、これからの季節に恋しくなるレザークラフトのワークショップです。
今回のワークショップ講師は、レザー作家・SKLOさん
講師としてお招きしたのは、神奈川県川崎市にて革工房を営む、SKLO(スクロー)さん。
SKLOさんは「Life style+Leather」をコンセプトに、シンプルかつ機能的で生活に溶け込むようなレザーアイテムを数多く手掛けるほか、クリーマのイベントや店舗でのワークショップにもご協力いただいています。スタッフの間でも「SKLOさんのワークショップ、気になってた!」という声が多く、私自身も当日を心待ちにしていました。
革の基礎知識、作業工程についてのレクチャーからスタート
まずは、「そもそも革とは?」「鞣し(なめし)とは?」といった基礎知識についてご説明いただきました。
革になる動物は鹿や羊、馬やワニなど様々ですが、やはり市場に多く出回るのは牛や豚など、私たちが食料として消費する動物のものだそうです。
動物の皮膚そのもの、すなわち「皮」がそのままレザー作品になる訳ではなく、皮が腐ってしまわないよう、不要なタンパク質や脂肪を取り除き「革」という素材に仕上げる処理が必要です。この処理のことを「鞣し(なめし)」と言い、鞣しの中に含まれる工程は実に20~30もあるのだとか。
そうやって手間暇をかけて完成した革を使って、今回はパスケースを製作していきます。
いよいよ製作開始!革選び・床面磨き
それでは、いよいよ製作をはじめます!まずはパスケースを構成する革を選びます。今回は二口ポケットのパスケースを作るため、カットされた革を合計3枚選びます。
SKLOさんが丁寧にカットしてくださった、様々なカラー・質感の革が並びます。3枚とも同じ色にしてシックにまとめるのもよし、鮮やかな色を重ねて個性を出してもよし。しっかり吟味して、自分だけの組み合わせを決めていきます。
革を選んだら、早速「床面磨き」の始まりです。「床面」とは言葉の通り、革の裏面。ざらっとした質感で、少し毛羽立ちしていることも。パスケースとして完成した後は、この床面がポケットの内側となるため、カードをスムーズに出し入れできるよう、しっかり磨きあげていきます。
専用のクリームを塗って、布でゴシゴシと擦っていきます。摩擦で床面を柔らかくするため、力を入れて3枚とも根気強く磨きます。
「これくらいで大丈夫かな?もっとかな?」とお互いに確認し合いながら、理想の手触りを求めます。
縫製前の下準備。組み立て、目打ち
床面磨きが終わったら、早速パスケースを組み立てていきます。ただしいきなり革を縫い合わせるわけではありません。まず、縫製中にずれてしまわないようしっかりとボンドで革同士を貼り合わせ、そこに糸を通すための穴を開ける作業「目打ち」を行っていきます。
糊が広がりすぎないよう気を付けながら、革の端に薄くボンドを塗っていきます。
ここでボンドが広がりすぎてしまうと、カードの入るスペースが狭くなってしまい、せっかく完成しても入れたいカードが入らない!なんて悲しいことになってしまいます。液が出すぎないよう、慎重に塗るのがポイントです。
半乾きになったら、革同士を貼り合わせます。端と端をピッタリ合わせ、正確に。
しっかりと革が留まったら、お次は目打ちに移ります。
縫製用の針をそのまま革に刺そうとしても通らないため、針を通すための穴を開ける作業です。三又に分かれたフォークのような器具を縫いたいラインに合わせ、木槌で垂直に打っていきます。
さっきまで黙々と作業が行われていた部屋に、一転、木槌のカンカンという大きな音が鳴り響きます。手首のスナップをきかせながら、まっすぐ穴をあけるよう意識して打つのはなかなか集中力のいる作業でした。
糸を選んで、縫製へ
ここまでの工程で、縫製のための下準備が完了しました。いよいよ縫い合わせる作業が始まります。革と同様、豊富な種類の糸の中から、自分のパスケースに合うものを探します。
革と同系色でまとめても、ステッチを目立たせる色を選んでもよいため、悩むクリーマスタッフ一同。「この色とこの色、合うと思いますか?」とSKLOの皆さんにもアドバイスをいただきながら選びます。
糸を選んだら、いざ縫製開始!そこで登場するのが「ステッチングツリー」。
こちらの器具で革をしっかり固定し、ひと針ひと針縫っていきます。底板に跨って作業をすることから、通称「レーシングポニー」とも呼ばれているそう。
説明していただきながら針に糸を通し……
縫製が始まります!
しっかりと穴を開けているため針はスムーズに通せますが、縫い目を美しく仕上げるには縫い進めるたびにしっかりと糸を締めることや、縫い方の手順をきちんと守ることが求められます。
ちょっとした手順の違いで縫い目の見た目が変わってしまうため、一つひとつ工程を確認しながら、最後まで気を抜かずに。
刻印と最後の仕上げ。気になる「SKLO賞」も
縫製が終わったら、完成まであと少し。ここから最後の仕上げに入ります。
希望者はここで、名前やイニシャルなどの刻印をすることができます。自分の名前やプレゼントする相手のイニシャルなど、各々思い思いに文字を記していきます。
文字スタンプのようになっている道具を使い、木槌で打ち付けて文字を残していきます。先ほどの目打ちとは異なり、穴が開いてしまわないよう、力加減は慎重に。
そして最後はやすりを使い、コバ面(革の切断面)を磨いていきます。貼り合わせの際にはみ出てしまった糊や、革同士のわずかな端のズレを整えながら、触った時の引っかかりをなくしていく作業です。
クリームを塗り、最後にグラインダーで仕上げると、コバ面がうっとりするほど滑らかになります。
これで、レザーパスケースの完成です!
1から自分で手作りしたパスケースが完成すると、全員どこか誇らしげな表情に。早速、定期券や社員証など、思い思いにカードを入れてみます。
そしてここで、SKLOさんから嬉しいプレゼントが!
なんとその日一番光っていた人が「SKLO賞」として選ばれ、受賞したスタッフには、SKLOさんお手製のレザーメダルが贈られました。
「いいな~!」という声とともに、受賞者へ拍手が送られました。
ワークショップを終えて
革の魅力に触れながら、丁寧な工程を経てパスケースを完成させた今回のワークショップ。
真っすぐに目打ちをすることや、縫製の際にステッチを均一にすることなど、難しいポイントもたくさんありました。日々レザー作品を手掛けているSKLOさんの手しごとが、いかに正確かつ手間暇のかかっているものなのか、僅かながら実感できた気がします。
同じ素材を使ったパスケースでも、革のチョイスや糸の組み合わせ、作る過程で一つひとつ全く違う表情に。「作るとき、ここ苦戦したな」「この工程楽しかったな」という思い出も、作品の味として手元に残ってくれるのが嬉しいですね。
製作しやすいよう、人数を2回に分けて実施いただいた今回のワークショップ。SKLOの皆さん、2日間本当にありがとうございました!
革の経年変化も楽しみながら、長く大切に使わせていただきます。
これまでの「クリーマのワークショップ」レポートはこちら
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